太平洋の日本近海海底は180兆円にのぼる鉱物資源(貴金属・レアアース)の宝庫であることが今までの海底探査により明らかとなっています。しかし資源エネルギー庁の「海洋エネルギー鉱物資源開発計画」では2028年に揚鉱システムの概念設計検討を行い、民間企業による商業化の可能性を追求する。となっており、揚収が困難で実用技術の目途が立っていません。とくに採掘に成功すると採掘鉱物(レアアース・メタル)の市場価格も下落するため商業的に成立させるのは至難の業と言えます。これは今までの検討が、海底油田・ガス掘削、浚渫・サルベージなど従来技術の延長で取組み、鉱石をスラリー(鉱石の微粉と海水を混合した泥状物質)化して、揚鉱管というパイプを通して海底からの超高圧圧送するなど、超高圧ポンプの実現、耐摩耗技術、エネルギーコスト、環境汚染という技術障壁に直面するためです。

私たちは、この事態を根本的な技術障壁に直面していると判断し、この障壁を根源的に乗越えるため、マッコウクジラの生態メカニズムを取入れた水中航走体システム(“深海クレーン“)を用いて解決します。(背景の思想は「事業化の視点」を参照ください)

その特徴は;
(1)深海クレーンの内外圧を均衡させ、実現障壁であった深海の高圧問題を根源的に解決した。
(2)海水より比重の軽いガソリンを浮力タンクに密閉してバラストと共に海底に沈降させ、海底で採集鉱物と交換して、比重を海水より軽くして浮力により揚収する。揚収にエネルギーを使用しない。
(3)鉱石をスラリー化しないで揚収するため、海中汚染を防止でき、海底掘削マシンを簡略化できる。
(4)自律的に移動し(自律航法)、固定的な海中設備がないので採鉱範囲の拡大と保守性の向上を実現した。

深海クレーンの実現には既存の最高レベルの宇宙航空制御技術、水中音響技術、水中航走体制御技術を適用しています。